第7号 / 9 · 紙の上のレター

ホーム画面に置かれた今日

記録が途切れるいちばんの理由は、アプリを開くことそのもの。毎日通る場所に日記を置くということ。

日記アプリをやめた理由を聞けば、立派な答えが返ってきそうなものですが、実際はとても小さなことです。ある日から、開かなくなっただけ。書きたくなくなったのではなく、開くのを忘れただけです。

アプリを開くことも、摩擦です

1日にスマートフォンを手に取る回数は数十回。そのうち、日記アプリのアイコンを探してタップする回数は、ゼロになりがちです。アイコンはフォルダの中のどこかにあり、ホーム画面はほかのアプリのものだからです。目に入らないアプリは忘れられ、忘れられたアプリは消されます。

だから私たちは、記録の場所をアプリの中ではなく、ホーム画面の上に作ることにしました。

ホーム画面の上の、印画紙1枚

小さいウィジェットは、今日残した写真を印画紙の枠のままホーム画面の1マスに表示します。まだ残していなければ、今日の一枚を誘うひとことが代わりに置かれます。数字で急かすことも、何日抜けたかを数えることもありません。ただ、今日の場所が空いていることを見せるだけです。

廊下を通りながら少しの間手に取ったスマートフォンと、夕方の光
廊下を通りながら少しの間手に取ったスマートフォンと、夕方の光

小さなこだわりがひとつあります。このウィジェットは深夜0時ではなく、朝4時に日付を切り替えます。夜遅くに残した今日の写真が、0時を過ぎた瞬間にホーム画面から消えてしまわないように。1日の境目はカレンダーではなく、生活に合わせるべきだと考えました。

振り返りのためのウィジェットもあります。直近2週間、あるいは5週間の写真が小さなモザイクになって並ぶものです。別のアプリを探しているときにも、ここ数日の色がふと目に入ります。

ウィジェットから始まる記録

ウィジェットは見せるだけではなく、入口でもあります。今日の写真が置かれているときはタップするとその日記が開き、空いているときはタップした瞬間に書く画面へ入ります。アプリを開いて、タブを探して、ボタンを押す——その段階が消えます。ホーム画面から記録まで、タップ1回です。

1分の記録に最後まで残っていた摩擦が、このタップ1回に縮まります。

毎日すれちがう場所

机の上に立てておいた1枚の写真は、特に見ようとしなくても1日に何度も目に入ります。そしてある日ふと、長く見てしまう。ウィジェットがやろうとしているのはそれです。ホーム画面を通るたびに、今日の写真が、あるいは今日の空白が、少しずつ目をかすめます。

記録を続けさせるのは決心ではなく、場所だと私たちは考えています。毎日通る道すじに置かれた、小さな印画紙1枚。それで十分なことが、案外多いのです。

ストーリーアーカイブ

これまでのレター

順番に読むと、1日1枚という小さなルールが、なぜ静かで私的で、戻りやすい設計なのかにつながっていきます。

  1. 第1号 写真1枚と、ひとこと。それだけの日記
  2. 第2号 何日か抜けても大丈夫な日記
  3. 第3号 投稿するかどうか迷う、あの3秒がない記録
  4. 第4号 写真がずらりと並ぶカレンダー
  5. 第5号 その日記は、どこにありますか
  6. 第6号 なぜ「印画紙」なのか
  7. 第7号 ホーム画面に置かれた今日 現在
  8. 第8号 削ったものの一覧
  9. 第9号 10年後にも開けるか

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今日という日を、1枚に残す

写真1枚と短いことばだけで十分です。