第7号 / 9 · 紙の上のレター
ホーム画面に置かれた今日
2026年8月23日
記録が途切れるいちばんの理由は、アプリを開くことそのもの。毎日通る場所に日記を置くということ。

日記アプリをやめた理由を聞けば、立派な答えが返ってきそうなものですが、実際はとても小さなことです。ある日から、開かなくなっただけ。書きたくなくなったのではなく、開くのを忘れただけです。
アプリを開くことも、摩擦です
1日にスマートフォンを手に取る回数は数十回。そのうち、日記アプリのアイコンを探してタップする回数は、ゼロになりがちです。アイコンはフォルダの中のどこかにあり、ホーム画面はほかのアプリのものだからです。目に入らないアプリは忘れられ、忘れられたアプリは消されます。
だから私たちは、記録の場所をアプリの中ではなく、ホーム画面の上に作ることにしました。
ホーム画面の上の、印画紙1枚
小さいウィジェットは、今日残した写真を印画紙の枠のままホーム画面の1マスに表示します。まだ残していなければ、今日の一枚を誘うひとことが代わりに置かれます。数字で急かすことも、何日抜けたかを数えることもありません。ただ、今日の場所が空いていることを見せるだけです。
小さなこだわりがひとつあります。このウィジェットは深夜0時ではなく、朝4時に日付を切り替えます。夜遅くに残した今日の写真が、0時を過ぎた瞬間にホーム画面から消えてしまわないように。1日の境目はカレンダーではなく、生活に合わせるべきだと考えました。
振り返りのためのウィジェットもあります。直近2週間、あるいは5週間の写真が小さなモザイクになって並ぶものです。別のアプリを探しているときにも、ここ数日の色がふと目に入ります。
ウィジェットから始まる記録
ウィジェットは見せるだけではなく、入口でもあります。今日の写真が置かれているときはタップするとその日記が開き、空いているときはタップした瞬間に書く画面へ入ります。アプリを開いて、タブを探して、ボタンを押す——その段階が消えます。ホーム画面から記録まで、タップ1回です。
1分の記録に最後まで残っていた摩擦が、このタップ1回に縮まります。
毎日すれちがう場所
机の上に立てておいた1枚の写真は、特に見ようとしなくても1日に何度も目に入ります。そしてある日ふと、長く見てしまう。ウィジェットがやろうとしているのはそれです。ホーム画面を通るたびに、今日の写真が、あるいは今日の空白が、少しずつ目をかすめます。
記録を続けさせるのは決心ではなく、場所だと私たちは考えています。毎日通る道すじに置かれた、小さな印画紙1枚。それで十分なことが、案外多いのです。
ストーリーアーカイブ
これまでのレター
順番に読むと、1日1枚という小さなルールが、なぜ静かで私的で、戻りやすい設計なのかにつながっていきます。
今日という日を、1枚に残す
写真1枚と短いことばだけで十分です。